深蒸し茶とは?
深蒸し茶とは? お茶の葉は、摘採した瞬間から酸化が始まります。 緑茶は摘採した葉が新鮮なうちに蒸して製造した不発酵茶です。 この蒸し時間を長くしたお茶が「深蒸し茶」です。
牧之原台地は日の出から日没まで日があたります。 日照時間が長い牧之原台地で育つ茶葉は葉肉が厚くなります。 葉肉の厚い茶葉は普通に蒸して製造すると苦みがでます。 この欠点をやわらげるために「深蒸し茶」が考案されました。
茶葉は長く蒸すと柔らかくなります。 柔らかくなった茶葉は、製造する過程で力を加えると細かくなります。 ですから、深蒸し茶の特徴は形は小さくて味はまろやか、水色は濃いことです。
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手揉み茶の先人が牧之原台地で育った葉肉の厚い茶葉でも、蒸し時間を長くすれば苦みがでないことに気付きました。 これが「深蒸し茶」の原点です。
お茶の製造で、蒸しはお茶に命を吹き込む一番大切な工程です。 蒸しは、茶師の腕の見せどころ。 (茶師とは、お茶工場に入ってお茶を製造する人のことです。) 我が家では、蒸しに細心の注意を払って製造しています。
時代と共に消費者の好むお茶も変わりました。 昭和時代は普通煎茶がよく飲まれていましたが、今では深蒸し茶もよく飲まれています。
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静岡県内には製茶機械メーカーが数社あります。 製茶機械メーカーは、競い合って製茶機械の開発に邁進してきました。 製茶機械の進歩は著しく、今ではコンピューター制御はあたりまえです。
深蒸し茶は製茶機械の進歩と共に蒸しがすすめられました。 蒸しがすすめば、さらに茶葉を肉厚に育てる必要があります。
蒸しがすすむに連れて茶樹の栽培方法も変わってきました。 深蒸し茶農家は深蒸し耐えられる茶樹の栽培方法を試行錯誤してきました。
茶樹の芽数を減らせば、茶葉は大きくて肉厚になります。 茶樹の芽数を減らすには伸びた新芽を浅く摘み、新芽の下の部分を残します。 茶樹に新芽の下の部分を残せば、新しく伸びてくる芽の数が減り茶葉は大きくて肉厚になります。
従来の茶樹の仕立て方を「芽数型」といいます。 それに対して、深蒸し茶に適した仕立て方を「芽重型」といいます。
芽重型の茶園は芽数が少ないのに浅く摘むので収獲量が減ると思われがちです。 でも、そんなことはありません。 茶樹を芽重型に仕立てるのは、深蒸し茶生産の基本です。
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深蒸し茶に対して浅蒸し茶もあります。 浅蒸し茶は、蒸し時間を短くして製造したお茶です。
葉肉の薄い茶葉は普通煎茶に適しています。 普通煎茶の産地は日照時間の短い中山間地にあります。 高級普通煎茶で有名な川根や本山等です。
深蒸し茶と普通煎茶、どちらが良いのか? それは飲む方の好みなので、どちらが良いとはいえません。 私は、どちらも好きです。
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深蒸し茶を淹れるには、大きな網の急須が便利です。
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