茶の製造
戸塚家の製茶方針です。 わが家では、普通の「深蒸し茶」よりもさらに蒸しを進めています。蒸しを進めると一口に言っても、そう単純なことではありません。 その蒸しに耐えられる茶葉を育てることから始まります。
牧之原台地は朝から日が沈むまで日が当たり、日照時間が長くなるので育つ茶葉の葉肉が厚くなります。葉肉の厚い茶葉を普通に蒸して製造すると苦みがでてしまいます。 苦みを和らげるために考案されたお茶が深蒸し茶です。 でも、蒸しを進めるとお茶葉は柔らかくなり、製造しているうちに細かくつぶれてしまいます。葉肉が薄い茶葉で蒸しを進め過ぎると、粉茶みたいになってしまいます。 ですから、我が家では蒸しを進めてもこなれないように葉肉を厚くする茶園管理を心掛けてています。
摘んだ茶葉はその日のうちに加工するので深夜まで製茶作業は続きます。
作った荒茶は製茶問屋へ販売するので、値段が決まり納品が終わると次の茶園へ茶摘みに行きます。 新茶収獲が終わるまでこの繰り返しです。
※荒茶とは、茶農家が保存できる状態に加工したお茶のことです。
雨がふると収穫できないので新芽は伸びます。 芽が伸びれば収穫量は増えますが、増え過ぎることもあります。 そうなると、製造が追いつかなくなるうえ品質は低下してしまいます。 ですから、我が家では品質重視の早め摘採を心掛けています。
荒茶は大海という大きな袋やダンボール箱に30㎏詰めにして出荷します。
荒茶のその後 荒茶を仕入れた製茶問屋は、粉や棒などを取り除いてから茶葉を細断したりブレンドしたりして独自の製品を作っています。 このお茶を小袋に詰めたものが消費地で販売されています。今では茶農家の直販も増えました。
各茶産地で育つ茶葉にはそれぞれ特徴があり、各茶産地に適した製茶方法があります。 我が家の茶園は牧之原台地にあるので「深蒸し」です。 川根や本山のように山霧のたつ川の近くは葉肉が薄くなるので「普通煎茶」です。
どんなお茶を作るかで蒸し方は違いますが、今の製茶機械はコンピューター制御なので楽になりました。 機械の設定をするのはお茶師なので、お茶の製造はお茶師の経験と五感が大切です。品質の高いお茶を作るにはお茶を鑑定する技術も必要です。味覚音痴では料理人にはなれないのと同じですね。
勇太は茶審査技術全国大会で団体戦優勝2回、個人戦でも2位と6位に入ったことがあります。 私達茶農家は販売先の製茶問屋との意思疎通をはかり、製茶問屋が望むお茶を作らなければなりません。 製茶問屋は、品評会で入賞する様なお茶ばかりを必要としているわけではないのです。 販売する価格帯に合ったいろいろなお茶を仕入れて、それらのお茶をブレンドして独自の製品を作っています。 この再製加工が製茶問屋の腕の見せどころです。
わが家で販売している「深蒸し茶」は、他のお茶とはブレンドされていません。ですから、市販されているお茶とはひと味違うと思います。 ご了承ください。
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