茶の栽培
・茶樹の仕立て方? 乗用型摘採機が導入される前、茶樹はかまぼこ型に仕立てられていました。 なぜ、茶樹はかまぼこ型にしたのでしょうか? それは、摘採面積を広くするためです。 摘採面積が増えれば収穫量も増えると考えられていたからです。
現在使われている乗用型摘採機で摘採する茶園は平らな樹形をしています。 平に仕立てるようになって収獲量が減ったかとうと、そんなことはありません。 しかも、お茶の芽伸び揃うので蒸しがしやすくなりました。 ですから、安定した品質のお茶ができる様になりました。
茶園面積あたりの収穫量を増やすには、見た目の樹形よりも茶樹を健全に育てることが大切です。
茶樹を健全に育てる基本は根の量を増やすことです。 根が増えれば茶樹に付いている葉の量も増えます。 すると、新芽を摘んだ時の収獲量も増えます。 なかなか思うように出来ませんが、上手くできると嬉しいものです。
・お茶の品質を高めるには? 品質の高いお茶を作るには、新芽をミル芽(若くて柔らかい)で摘むのが基本です。
茶園面積あたりの収穫量とお茶の単価を掛けあわせれば、茶園面積あたりの売上が決まります。 お茶価格がいくら高くても、面積あたり収獲量が少なければ面積あたりの売上も増えるとは限りません。 ですから、茶農家は面積あたりの売り上げが最も高くなる時期に摘みたい考えています。 しかし、茶園全部をその時期に摘むのは不可能です。 ですから、新茶収獲は早めに始まり、採算の合う間に終了出来るように計画します。
品質の高いお茶を生産するには、茶園管理が大切なのです。 良い茶葉なら良いお茶が出来るとは限りませんが、悪い茶葉から良いお茶を作ることは出来ません。
◇我が家の茶園管理で大切にしていること。 先ほども書きましたが、茶樹の仕立て方は茶樹の幹よりも根を増やす様に心掛けています。 長年試行錯誤した結果、今の仕立て方になっています。
お茶の品質を決めるのは肥料です。 自分が作りたいお茶によって、肥料の種類や施し方は変わってきます。 「我が家は、味が濃くてコクのあるお茶を目指しています。」 ですから、春と秋は有機質主体の配合肥料を自分たちで作っています。 この肥料は原料にこだわりがあります。 肥料の効果が長持ちする、飼料用魚粕や圧搾菜種粕等の有機を主体にしています。
新茶収獲は、その年の気象条件で芽の伸び方は違うし、新茶収獲が始まってからの天候で計画通りに進まない年もあります。 また、遅霜の被害で思うように収穫できないこともあります。 こう書くと難しそうに聞こえますが、茶農家は毎年のことなので、それほど心配はしていません。 そこが農業の面白いところでもあるからです。
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・山のお茶と台地のお茶の違い 高品質なお茶が生産される地域は、朝霧がたつ河川の中流から上流にかけてです。 例えば、大井川上流の川根茶や安倍川藁科川上流の本山茶が有名です。 我が家の茶園は牧之原台地にあります。 ですから、高級茶の産地ではありませんが、「深蒸し茶」の大産地です。
・茶の品種 お茶は日本各地で栽培されています。 日本で栽培されているお茶の品種の約70%は、「やぶきた」です。
・茶の木の増やし方 昔は実生(種を播いて増やす)が多かったのですが、今は挿し木で増やしています。 茶は「自家不和合性植物」といって、自分の樹で咲いた花では受粉しません。 ですから、雑種を防ぐために挿し木で増やす様になりました。
・お茶は、苗を植えてから何年で収獲できるのか? 5年くらいで収穫できる様になりますが、一人前になるには10年位かかります。
・お茶は、年に何回収獲できるのか? 八十八夜前後に摘む新茶、新茶を摘んでから45日後くらいに摘む二番茶、9月下旬~10月中旬に摘む秋冬番茶があります。 もちろん新茶が一番高値で取引されています。
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