お茶の淹れ方教室
こんにちは、私は戸塚勇太と申します。 私は静岡県牧之原市で、深蒸し茶の栽培から製造・販売まで行っています。 今回は、お茶の淹れ方教室にお付き合い頂きありがとうございます。 お茶の性質を知っていれば、美味しく淹れるのは簡単です。
◆ 理論編
お茶を淹れるには、大切なポイントが三つあります。 1つめは、茶葉とお湯の量のバランスです。 このバランスは、淹れるお茶の種類によって変わってきます。 2つめは、お茶を淹れるお湯の温度です。 3つめは、お茶を淹れる煎出時間です。 この三つをお茶の種類に合わせるのが、上手に淹れるポイントです。
次に、味を決める三つの主成分です。 1つめは「カテキン」で、渋みの成分です。 2つめは「カフェイン」で、苦みの成分です。 3つめは「アミノ酸」で、旨みの成分です。 この三つは、お湯の温度と煎出時間でお茶に含まれる量が変わってきます。
では、下のグラフを見て下さい。 これは、90℃のお湯でお茶を煎出したときに含まれる主成分量を表したものです。 このグラフから判る様に、高温のお湯で煎出するとどの主成分も短時間で多く煎出することが判ります。
次に、このグラフを見て下さい。
これは60℃のお湯でお茶を煎出した場合です。 カフェインとカテキンは、お湯の温度が低いと煎出しにくくなることが判ります。 それに対し、アミノ酸だけは低温のお湯で煎出しても時間をかければ高温のお湯と同じように多く煎出します。
先程の二つのグラフから解る様に、高級な味重視のお茶ほど低温のお湯で長時間かけて煎出すれば美味しくなります。 逆に、番茶・焙じ茶・玄米茶・等の香りを楽しむお茶は、高温のお湯でサッと煎出すれば香りの高いサッパリとしたお茶になります。 これは、番茶・焙じ茶・玄米茶には、成分が多く含まれていないからです。
ですから、高温のお湯でも短時間でサッと淹れれば、苦くなったり渋くなったりする心配はありません。
渋いお茶が好き、あるいは眠気を覚ましたい、二日酔いを覚ましたい等が目的でお茶を飲む場合は、成分が多く含まれた上級なお茶を高温で長時間煎出すれば、カフェイン・テキンを多く含んだ、苦み・渋みの強いお茶になります。 ※でも、飲みみ過ぎには注意してください。
逆に、低価格のお茶を低温でサッと淹れると、成分は少なり味が薄くて刺激の少ないお茶になります。 この様なお茶は、幼児等が飲むのに良いと思います。 夜飲む場合も、この様な淹れ方をすれば眠気を妨げることはありません。
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◆深蒸し茶の淹れ方 実践編
では、実際に深蒸し茶を淹れてみます。 準備するものは、「深蒸し茶」「湯」「急須」「湯飲み」「計量スプーン」
・お湯 使用する水は、水道水の場合は沸騰状態を5分くらい続けてカルキ臭を飛ばして下さい。 市販の水を使う場合は、軟水を選んで下さい。
・湯冷まし 今から淹れる上級な「深蒸し茶」は、熱いお湯では美味しく入りません。 ですから、お湯を70℃位まで冷まします。 では、湯冷ましとお湯の計量を兼ねて、湯呑みにお湯をとります。 この時、茶葉が急須の中でお湯を吸収することを考慮して、少し多めにとって下さい。
・お湯は冷たい別の器に一回移せば、温度が10℃位下がります。 ポットに90℃のお湯が入っているとすると、これを湯呑みに移せば80℃くらいになります。 もう一度移せば、70℃位になる計算です。
・廻し注ぎ 湯飲みへ注ぐ方法は、1→2→3と注いだら、3→2→1と戻り、各湯飲みの量と濃さを同じにして下さい。
・注ぎきる 急須のお茶は注ぎきって下さい。 最初にお湯の量を計ってあるので、ぴったりと注ぎきることができます。 急須にお湯を残しておくと急須の中の茶葉が蒸れすぎてしまい、二煎目が美味しく入りません。
・急須の蓋 急須のお茶を注ぎ終わったら、蓋は外すかずらしておいて下さい。 そうすれば急須の中の茶葉が蒸れ過ぎず、二煎目も美味しく飲めます。
・二煎目は一煎目よりも熱めのお湯を使って、短時間でサッと煎出して下さい。 それが、二煎目を美味しく淹れるコツです。 最後までおつきあい頂き、ありがとうございました。
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